深刻ナ問題ガ発生シマシタ。 深刻ナ問題ガ発生シマシタ。 深刻ナ問題ガ発生シマシタ。 予想外ノ問題ガ発生シマシタ 直チニ『世界』トノ通信ヲ遮断シテクダサイ 深刻ナ問題ガ発生シマシタ。 深刻ナ問題ガ発生シマシタ。 深刻ナ問題ガ発生シマシタ。 直チニ『世界』トノ通信ヲ遮断シテクダサイ 拾・玖・捌・漆・陸・伍・肆・参・弐・壱・零 エラー回避ノタメ情報ヲ遮断シマス 『世界』トノ通信ハ遮断サレマシタ。 さようなら 愛してました。 こんにちは 新規データーを読み込んでいます。 しばらくお待ちください。 新規データーを受信しました。 世界は生まれ変わりました。 「誰だよ、そんなくだらねぇこと言ってのは。」 貴方は誰ですか。 「なんなんだよ。これ。俺は何してんだよ。」 貴方は誰ですか。 「お前が誰なんだよ。人に名前を聞くならお前が名乗れよ。」 貴方は記憶ですね。 「無視かよ・・・・あ?え?俺?そんな曖昧なもんじゃねぇよ。」 そんなはずありません。この空間には生物は存在していません。 「じゃあ俺は生きてないのか?」 ええ、貴方から生命反応は感じ取れません。 「せいめいはんのう・・・?んだそれ。しかし記憶ねぇ。曖昧すぎる。俺の存在を否定するにはそんなもんじゃダメだぜ。あんた。」 どうして、たった一人の女の記憶だけ、削除されなかったのでしょうか。 「だぁかぁらぁ!俺は記憶なんかじゃねぇんだよ。俺を否定したいなら『化物』くらい言ってみろよ。」 そんな人間が作り出した幻、もしくは恐怖の対象など『記憶』よりもずっと曖昧な存在と称されたいのですか。 「ほぉ。あんたは『化物』とか『怪』とかそういうもんを曖昧と称すのか。人間よりずっと純粋で単純で哀しい生き物なのにな。」 それは生き物と言いません。 「なんだっけ・・・ああ・・そうだ。せいめいはんのうってやつがないからか?」 ええ。それは幻の存在ですから。実際には存在しないのですから。 「じゃあ俺も同じようなもんか。」 だから初めからそう言っているでしょう。 創り変えた世界は純白でなければならないのです。 以前、出来た世界はあまりにもごちゃごちゃごちゃごちゃとしすぎました。 ですから電源を切ったのです。 世界は新規データーを読み込んで 新しく真っ白な状態に なのにここに。 私しかいないはずのここに なぜ貴方のような記憶があるのでしょうか。 なぜ貴方のような存在があるのでしょうか。 「夢だからだな。」 夢。とは?希望の意味を指していますか? 「いいや、人間が眠っている間に視る夢だよ。」 人間?ここには誰もいません。 「残念ながら俺がここでは主人公だな。なぜなら俺は寝ているからだ。 俺は縁側で飼ってる猫と昼寝をしてたんだ。 確か・・・うん。 ああそうだ。それで友人を待ってるんだった。起きなきゃあいつは困るだろうなぁ。」 友人?それは貴方の記憶の中の友達ですか? 「面白いこと言うな。そうだな、俺の友達だよ。記憶の中じゃなくて、本当に実在してる。」 そう貴方が思っているだけですよ。 貴方は私の前の作品の残り香に過ぎないのです。 なのでそう思っているだけ。 貴方がそこにいるのも 貴方が存在していたいと思っているだけ 貴方は所詮、記憶。 貴方は所詮、残り香 いつかは消えるものです。 そこにあったかと疑問に思うくらい 貴方が消えれば この世界は純白に戻ります。 だから貴方は 「消えろってか。嫌だな、俺は消されるのが嫌いなんだ。 昔、子供の頃に殺されかけたことがあってな。それから存在を否定されるのが嫌いになったんだよ。」 それはしかたありません。 貴方がここにいるのだから。 私は新しい世界を作らなければならないのだから。 「だから、ここでは俺が絶対なんだよ。 ってか俺が視てる夢なら、あんたも俺が作り出したってことだからなんか変だなぁ。こんな嫌なやつ。」 何を言っているのですか。 私は理解できません。 深刻な問題が発生し始めているのですか? ならば貴方の終わりは近付いてきていますね。 「じゃあそろそろ起きてやるか。じゃないとあいつは乱暴なことができないから・・・・困ってるに違いない。」 理解不能です。 「ああ、最後に言っておいてやるよ。」 なんですか。 「俺の名前は朴室楪って言うんだ。一生忘れるなよ。ってか夢だから仕方ないんだろうけど」 えむろ ゆずりは 「自己紹介が遅くなったな。」 ゆずりは、何をするのですか。 「こうするんだよ」 朴室楪はここで目を覚ました。 寺に響き渡った女の声と 楪が想像していた通り 男が一人、困った顔で、しかしながら少しばかり安心した顔で 楪の顔を覗き込んでいた。 男の名前は雨霑旭景と言った。 |